先進医療を取り巻く課題

医療機器・IVDにまつわる諸課題とAMDDの見解2017年7月現在

組織について

Q. AMDDとはどんな団体ですか。

A.米国医療機器・IVD工業会(AMDD)は2009年4月1日に設立された、主に米国に本社を置く、あるいは米国でビジネスを行っている医療機器、体外診断用医薬品(IVD)などの先進医療技術を提供している日本法人によって構成される業界団体です。
AMDDの会員企業は、心臓ペースメーカーやICD、人工心臓弁、PCIなどのカテーテル、ステントグラフト、人工関節などの整形外科材料、眼内レンズ、大型画像診断機器、遺伝子診断、IVDおよびシステム機器などを始めとした様々な先進医療技術を提供しています。日本においては会員企業全体で約21,000人の雇用を創出しており、過去5年間に国内で承認された新医療機器の7割弱は、AMDD会員企業の製品です。
AMDDは「大切な人びとの健やかな日々のために、価値ある医療テクノロジーや情報をお届けします。」をミッションに、先進的な医療技術を迅速かつ適切に医療現場に導入し、医療費の適切な水準及び配分を実現するため、米国政府及び米国に本部のある先進医療技術工業会(AdvaMed)との連携のもと、医療機器規制への提言、医療保険償還価格及び制度の改革等に関して積極的な発言を行い、加盟企業を代表して厚生労働省をはじめとする行政との窓口の役割を果たすとともに、日本の皆様に価値ある医療テクノロジーや情報を届けるための活動を行っています。
URL:http://www.amdd.jp/

Q. AMDDとAdvaMedはどのような関係にありますか。

A.先進医療技術工業会(AdvaMed)は、米国ワシントンDCに本部を置く、世界最大の医療機器団体です。会員企業は300社、その関連事業所は1,300社以上に上り、世界各地2,400箇所に拠点を置いています。
AdvaMedは、患者への安全で効果的な最新医療技術のタイムリーな提供と価値あるクリエーションを奨励する経済政策の実現を、グローバルべースの高度な倫理基準に則り提唱しています。複雑さを増す各国の法規制を正確に理解できるよう、加盟企業に情報、講習、具体的解決案等を提供するとともに、主要国の医療技術市場に最新機器を導入する道筋をつけるべく業界を代表し世界レベルで規制緩和を訴えています。
AdvaMedには、AMDDの加盟企業の親会社の多くが所属しています。AdvaMed内部には、医療機器及びIVDに関する日本の医療規制及び保険償還に関するグループが設立されており、これらのグループとAMDDは密接な協働関係を維持しています。
URL:http://www.advamed.org

Q. AMDDとACCJはどのような関係にありますか。

A.在日米国商工会議所(ACCJ)は、米国40社の企業の代表により1948年に創設された、日本における、最大かつ、もっとも影響力のある外国ビジネス組織です。東京、大阪及び名古屋にオフィスを置き、1,000社以上の企業、約3,500名のビジネスパーソンを会員としています。
米国医療機器企業の日本における業界活動は、在日米国商工会議所(ACCJ)内の一委員会であるヘルスケアコミッティのサブコミッティとして医療機器・IVD小委員会を中心に進められてきましたが、より迅速性と効率性を追求した組織にするため、2009年4月にAMDDとして独立しました。これ以降、厚生労働省の関係各所との交渉や、中央社会保険医療協議会等における業界としての意見陳述などは、AMDDとして行っています。

Q. AMDDとEBC、医機連、MTJAPANとは、どのような関係にありますか。

A.日本における医療に貢献するという共通の使命のもと、AMDDとほかの業界団体は、密接に連絡を取り合い、行政・関連団体などと共同で意見交換を行っているほか、様々な提言を共同で作成・提案しています。具体的には、官民対話や定期意見交換会、中医協での業界意見表明などを共同して行っています。

Q. AMDDは日本の医療機器産業とどのような関係にありますか。

A.AMDDの会員の中には、製品の輸入販売を行うだけでなく、日本での研究開発や製造、また日本で開発製造された部品を製品に活用するなど、日本の医療機器産業と密接な協力関係を持っている企業があります。さらに、当工業会の会員企業は、日本の医療機器の国内販売額の約7割(約1 兆8,000億円)を売り上げ、日本国内において約21,000人もの直接雇用(2016年)を創出しているほか、修理・メンテナンス施設をはじめとする国内の拠点はほぼ全都道府県に広がり、日本の医療機器産業の発展に貢献しています。
私たちは、日本法人企業として日本国内の市場に特化し、日本の医療機器・IVD産業が発展することを目指してビジネスを行っています。また国内の医療機器産業振興に貢献するため、日本政府や行政、関連団体と連携していきたいと考えています。今後は、グローバルのノウハウを行政や日本企業、地方自治体などと共に展開していきたいと考えています。

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デバイスラグ・ギャップについて

Q. デバイスラグ、デバイスギャップとは何でしょうか。

A.デバイスラグとは、特定の医療機器の日本への導入が欧米諸国に比べ遅れている状態(いずれは日本に導入される)を示し、デバイスギャップとは、特定の医療機器が結果として日本に導入されない状況を示します。
デバイスラグより一層深刻な問題が、デバイスギャップです。製品が日本に導入されないということは、これらの製品が可能にする診断や治療が、日本の患者さんに、結果として提供できないことにつながります。日本の患者さんが最新の医療技術の恩恵を受けられないことは、決して好ましいことではありません。

更に、日本に導入されない製品があるということは、代替となる製品が存在しなくなるという危険性をはらんでいます。これは製品の安定供給に関わる大きな問題です。現実問題として、2009年には、日本に代替製品がないことによる製品供給不安、欠品騒動が広がり、政府が緊急対策を取ったという事例(骨髄移植フィルター)が発生しました。
AMDDはこれまで、この状況を改善するため様々な提言活動を行っており、こうした活動の結果、2010年には「新成長戦略」にデバイスラグの解消が盛り込まれ、2013年11月には、医療機器の特性を鑑みた規制として、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称/医薬品医療機器等法)が成立しました。
「デバイスラグ」においては、関係各所の皆様のご尽力によって、薬事承認取得にかかる総審査期間の短縮に対する取り組みがなされ、申請後のラグは大幅に解消されていますが、一方で申請前のラグが以前よりも拡大傾向にあります。2014年に策定された新たな5ヵ年計画「医療機器審査迅速化のための協働計画」に示されている通り、行政とのさらなる協働を目指しています。
また「デバイスギャップ」は依然として課題解消への道は遠く、AMDDは具体的な方策の実現に向けて活動を推進しています。

Q. 申請前のラグが拡大傾向にあるのは、メーカー側の問題ではないのですか。

A.一概にメーカー側だけの問題ではないと考えます。医療機器を取り巻く日本特有の医療機器関連規制や保険制度が、メーカー側の実務量を増やし、意思決定を困難にさせている現状があります。
例えば、欧米では治験が必要ではないが日本では必要な医療機器、米国では加速安定性試験で足りるが日本では実時間で安定性試験を行わなければならない医療機器などは実務量の違いが日本での申請時期の遅れにつながっています。
AMDDは、これらを改善するため、医療機器関連規制の国際整合を促進しており、行政に国際整合の必要性と妥当性を訴えています。

さらに、企業の意思決定の面では、審査期間にばらつきが大きく新製品上市に必要な投資金額の適切な算定が困難であること、外国平均価格に基づく再算定制度や機能区分ごとの実勢価による引き下げ、さらに価格やその決定時期の予測が難しい価格決定プロセス等により、企業としてかかる投資が回収できるかどうかの検討が複雑化していることが原因としてあげられます。
これに加え、アジア諸国がその経済成長により、市場としての魅力を増していることから、日本市場への投資が後回しになるという事態も発生しています。
日本市場の魅力がメーカーの投資行動に影響を与え、申請前のラグを引き起こす要因となっているケースもあるのです。

Q. 検査(体外診用医薬品:IVD)にも「承認ラグ」がありますか。

A.医療機器と同様、世界各国ではすでに使用可能な最新の体外診断用医薬品(IVD)が、日本では未だに使用できないという状況があります。 IVDを日本で製造・輸入・販売するためには、医薬品医療機器等法に基づき審査を受けなければなりません。ここ数年間、臨床検査に必要なIVDに対する法規制の面で、いくつかの改善がみられました。
2005年に実施された薬事法改正では、リスクに見合った規制が行われ、承認・第三者認証・届出(自己認証)制度の3つのクラス分類を導入することで、早期に市場へ供給できるシステムが構築され、良い方向への重要なステップとなりました。さらに2014年の薬事法改正では、体外診断用医薬品の製造販売業が第2種医薬品製造販売業から独立分離する等、行政・業界間で検討協議してきたIVD特有の課題のいくつかが新法「医薬品医療機器等法」に反映されました。
しかし、現実的な進展は不十分で、特に厚生労働大臣の承認を必要とする新製品の審査においては、以下のような課題があります。この状況が早急に改善されない限り、日本は最新のIVDが導入されず、国民(患者)の利益を見逃すことになりかねません。

  1. IVDの審査体制の改善の必要性
  2. IVDの臨床性能試験のガイドライン策定に関する提案
  3. コンパニオン診断薬やゲノム検査等新たな検査技術の導入に伴う承認審査基準とルール作りの必要性

2010年に発表した(社)日本臨床検査薬協会(JACRI)、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)のIVD委員会及び、欧州ビジネス協会(EBC)の臨床検査機器・試薬(体外診断)委員会の、日本における臨床検査に使用されるIVDの取り扱いに関する共同声明では、上記の3分野において改善が必要だとしており、上記1.に対しては2014年3月31日に厚生労働省より発表された「体外診断用医薬品審査迅速化のための協働計画」に基づき5カ年計画で審査の迅速化に取り組む旨が示されました。また、3.に対しては先の5団体連名で2011年に発表した「個別化医療を推進するためのコンパニオン診断薬のインフラ整備に関する提案書」を契機にPMDAでは医薬と診断薬の審査の連携などの体制の整備が進められています。

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保険償還価格について

Q. 日本の医療機器は海外よりも高いと聞きます。日本と海外の医療機器の価格差(内外価格差)はなぜあるのですか。

A.日本における医療機器を取り巻く環境は、諸外国と大きく異なります。アクセスを重視した医療機関数の多さや、欧州とは大きく異なる薬事承認制度などが、一病院および医師一人当りの症例数の少なさ、流通の複雑さや、薬事承認にかかる負担の大きさなど、諸外国との大きな違いを生んでいます。
こうした中で、日本の医療機器の値段を海外と同等にすべきだ(内外価格差を無くすべきだ)という議論が古くからあり、様々な制度の変更を経て現在に至るまでの間、かかる価格差は大幅に縮小されてきました。現在ではむしろ、外国の価格よりも日本の価格が低い製品も多くあります。
したがって、以前から指摘されてきたようないわゆる内外価格差は、日本や諸外国との医療制度や商習慣の相違に起因するコストの相違、また主に為替変動に起因する不可避かつ一時的な差異を除き、現在では事実上、問題となるようなものはないと認識しています。
AMDDでは2009年に三菱総合研究所に委託して「医療機器提供コストに関する日欧比較調査」を行いました。調査により、日本国内における医療機器の開発、販売活動は他国と比べて倍以上のコストがかかることがわかりました。それらコストを価格に反映させた場合、おのずと海外との価格が異なるケースが出てくることは避けられません。
そもそも、外国平均価格に基づく再算定制度には、改善すべき大きな課題があります。海外では数年前に導入され、価格が当初より下落している数世代前の製品を、日本の導入直後の価格と比較せざるを得ない場合があり、また、日本の公定価格と海外での病院購入価格が比較される場合があるなど、流通の相違等を勘案すれば、同一の条件で比較がなされているとは言い難い場合があります。
同調査では、ペースメーカー、PTCAバルーン、ステントにおいては、英仏独に比べ日本では2.2倍のコストがかかっており、人工股関節、人工膝関節においては同2.5倍のコストがかかっているという結果が出ました。そうした製品は日本に導入しないという結論になる場合があり、デバイスギャップに繋がる恐れがあります。

Q. 外国価格参照制度とはどのような制度ですか。

A.外国価格を参照する制度は、新規の機能区分を設定する際、及び既存の機能区分に対する再算定の際に適用されます。
外国価格を参照した再算定制度では、米・英・仏・独四カ国(2012年4月以降に収載された製品についてはこれら四カ国に豪を加えた五カ国)の価格と比較し、国内価格が一定(1.3倍、又は機能区分について一定の条件を満たした場合には1.5倍)以上の場合には、それを上限として償還価格を切り下げるというものです。AMDDは、本制度が2002年に導入されて以来、一貫して本制度に反対を表明しています。その主な理由は以下の5点です。

  1. そもそも日本における医療機器の導入、流通にかかわる環境は比較国と大幅に異なります。このように異なった環境間で価格を比較することは適切ではありません。
  2. 医療機器の提供コストには、その国における医療機器法関連規制への遵守対応、医療機関への情報提供や医師をはじめとする医療従事者へのトレーニングなど、国内で発生するコストが多く含まれています。たとえば、リーマンショックやギリシャ財政危機によって引き起こされた為替の急激な変動の下で再算定制度を適用することは、必ずしも為替と無関係であるこれら国内で発生するコストに対しても圧縮を余儀なくされるものであり、非合理だと考えます。
  3. 再算定制度はすでに7回適用され、いわゆる内外価格差が存在するとして当初槍玉に挙げられた製品も大幅に価格が下がっています。日本で販売される新製品の価格決定にあたっては、外国価格との比較を経ており、再算定制度は既に一定の役割を果たし終えていることに加え、実勢価格に基づく価格改定が別途行われていることを踏まえると、価格の「不当な高止まり」の懸念には全くあたらないものと考えます。
  4. 再算定制度は、対象となる外国価格に対する上限倍率の引き下げ、調査対象区分数の増加、対象国の拡大、為替変動に依存する等、企業の視点からは著しく経営の予見性を欠く制度であると言えます。各企業は今後ともより一層、当該制度からくる価格圧力が厳しくなるものと捉えており、残念ながら、事業コストが明らかに海外よりも高い日本の医療機器市場を魅力無いものにしています。
  5. 外国価格の収集には、日本及び海外事業所において多大な労力を要しています。
Q. 新製品の保険適用及び収載までの期間について教えてください。

A.制度上、承認から保険適用までの期間は最短で数ヶ月ですが、革新性の高い新規の医療機器については、事実上、さらに時間を要している状況にあります。
また、米国で承認を受けた医療機器の約1/3は日本で申請されないという状況があり(=デバイスギャップ)、これは新しい技術を日本に導入できないことに加えて、製品の安定供給にかかる問題にもつながりかねない深刻な問題です。
薬事制度及び審査体制等の整備と並行して、新製品導入を促進するため、現在3ヶ月に一度の収載頻度を増やし迅速化を進めること、また国内で実施する治験、レジストリー整備及びトレーニング等を、類似機能区分比較方式においても正当に評価するための仕組みづくりを行うこと等、診療報酬制度においても適切な手当てが行われることを希望しています。
2012年度診療報酬改定において、デバイスラグの解消にかかるインセンティブが付与され、また補正加算の要件の見直しが行われましたが、今後も制度の運用状況を注意深く見守り、制度の更なる改善に向けた提案につなげていきたいと考えます。

Q. 薬剤とは違う「機能区分制度」をどのように考えていますか。

A.薬剤は一剤ごとに薬価がつくのに比べ、医療機器は機能区分ごとに価格が設定されています。
機能区分制度では、改良改善がなされた医療機器であっても、同一の機能であれば現行の製品と同一の価格となることから、改良改善のインセンティブが働きにくくなっています。製品の開発がより促進されるよう、従来品より優れた効果をもたらす医療機器については、機能区分によらず価格を設定できる制度を導入すべきです。
2014年度の診療報酬改定において、革新的な製品にかかる機能区分の特例として、2回の改定を経るまでの間、単独の機能区分を維持する制度が導入されました。今後とも制度の運用状況を注意深く見守り、制度の更なる改善に向けた提案につなげていきたいと考えます。

Q. 2016年度の診療報酬改定について、医療機器業界にどのような影響があったか、また今回の改定についてどのように受け止めているか教えてください。

A.2016年度の改定においては、再算定制度を含む外国平均価格参照制度に関し、外国平均価格比の上限を原則1.5から1.3に引き下げ、またいわゆるはずれ値価格の除外ルールが新製品の償還設定時のみならず2年毎の改定時の再算定にも導入するなどの制度変更が行われました。これは経営の予測可能性を下げると同時に、独自の流通制度などで事業コストが海外よりも相対的に高い日本市場の魅力を減じる要因となり、結果としてイノベーションの導入を阻害する可能性があるため、大変残念なこととして受け止めています。AMDDは、この制度を速やかに廃止するよう求めています。

IVDにおける検体検査実施料は、1990年以来下がり続けていましたが(2000年から2006年は二桁%で減少)、2008年以降の改定では減少比率が小さくなっています。2014年度の改定では、消費税率アップとの兼ね合いでマイナスの改定となりましたが、全体で-1.4%、2016年の改定では-0.4%の結果でした。
これは、2007年より臨床検査振興協議会(学会・業界団体により構成された協議会)と厚生労働省の関係部局との継続した勉強会の成果と認識しています。

Q. 検査(体外診断用医薬品:IVD)にも、診療報酬制度の問題がありますか。

A.臨床検査(体外診断用医薬品:IVD)領域において、2008年以降の診療報酬改定のプロセスおよび改定結果は、IVD の価値と今後の方向性を大きく反映しています。これは医療においてIVDの価値が認識され始めたためと考えます。しかし、1990年代から現在にいたって、日本の医療制度における臨床検査・IVDの医療への貢献、真の価値についての評価は、その貢献と価値が的確に反映されてきたとは言い難い結果となっていました。検査の医療への新たな貢献を促進させるためには、以下のポイントが今後ますます重要課題として認識され、論議される必要があると考えます。
• 臨床検査(体外診用医薬品:IVD)の価値を反映した診療報酬制度の構築
2014年度の改定では、体外診断用医薬品の保険収載のルールが変更され、検査項目や方法が従来のものに比べて新しいかどうかに関わらず、技術改良等により臨床的意義、利便性の向上等がみられた場合には、新たな点数区分が設けられる道が開けました。一方、効率化余地がある分野を適正化する、すなわち、検体検査実施料の適正化を行うという点については、実勢価格に応じて是正する方法の妥当性は認められるものの、医薬品のように薬価が銘柄別収載ではなく項目別同一実施料であり、同一項目の中に臨床的価値の高いものと必ずしもそうでないものが混在する検査項目に関しては、最新技術を用いたIVDが、診療報酬上では適切に評価されているとは言いがたい状況にあります。臨床検査関係者が一体となって関係当局と協議し、是正をしていくことが必要と考えます。
臨床検査試薬・システムに関わる現在の医療保険制度(診療報酬制度)では、先進医療技術製品と既存技術製品の差などを反映した診療報酬制度にはなっていません。つまり、検体検査実施料等の決定が製品の価値を反映しておらず、新規開発へのインセンティブとなっていない状況にあります。IVDによる検査は、「適切な検査」を「適切な時期」に「適切な場所」で「適切な価格」で実施されることが不可欠です。最新技術を用いたIVDにより正確な診断がされることで、疾病の予防、早期発見を実現し、患者さんのQOL向上と医療費の適正化に貢献できると考えます。 IVD の価値に基づいた医療保険制度(診療報酬)への制度の変更とその運用の実現に向けて、中医協の下でIVDの専門家によるより深い議論がされるべきだと考えます。

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政府・行政の動きについて

Q. 2013年11月に成立した「医薬品医療機器等法」について、AMDDはどのように考えていますか。

A.AMDDはこれまで医療機器の特性を鑑みた規制の構築に向けて長年活動を推進してきました。この度の「医薬品医療機器等法」の成立は、医薬品から独立した初の医療機器の特性を踏まえた規制を定める法律として、その成立を高く評価しています。特に、モデルチェンジを繰り返し改善が繰り返されていくという特徴をもつ医療機器を規制する法律として、製造元を登録制にしたこと、旧法の製造管理基準(GMP)から品質管理システム(QMS)の考え方を採用したことなどは評価しています。これから、今後の適切な運用に係る下位法令の制定にまで、このコンセプトを浸透させる必要があると考えます。
医薬品・医療機器等法施行に関するAMDDの詳細見解はこちら

Q. 厚生労働省が2016年度診療報酬改定から部分的に導入された医療技術評価(HTA)/医療経済評価(HEE)についてどのように考えていますか。

A.費用対効果評価については、医療資源の有効活用の観点からその役割については十分理解ができるものの、評価制度の詳細については明確でないまま試行が始まってしまいました。
制度の検討は、申請企業を代表する者を含めた幅広い関係者の意見が適切にかつ直接的に反映されるような形で行われるべきであると考えます。また、医療技術評価制度の導入によって日本の医療が患者にとってより良いものとなるべく、医療機器の特性、薬事制度、既に実施されている医療技術評価の内容を踏まえた検討がなされるべきです。とりわけ、医療技術評価制度の充実のためには、単に費用対効果等の経済的評価(HEE)を行うにとどまらず、医学的評価や社会的評価を含めた幅広い観点からの検討を行うことが不可欠であると考えます。
制度設計にあたっては、医療機器及び医療技術がもたらす医療上の広範な影響について、社会的コストを含め総体的に検討し、またそれを適切な手法により保険上の評価に反映可能な制度体系となっているべきであり、とりわけ、評価手法、評価プロセス、評価結果については、国民的コンセンサスが得られ、また十分に透明性が担保された形とすべきです。さらに、新しい機器の保険導入にかかるデバイスラグ、デバイスギャップが拡大し、結果として医療現場において新しい医療技術へのアクセスが阻害されることのないよう、薬事承認後の保険収載が遅延することなく、かつ、革新的な医療機器及び医療技術に対する診療報酬上の評価が、償還価格の引き上げも含め、制度上十分に行われるよう担保されるべきだと考えます。
その上で、医療技術評価実施の基礎となるデータベースの構築と専門的な人材育成を導入の前提としつつも、データ収集及び保険申請等にかかる申請企業側の作業や費用負担は最小限に留めるべきです。

Q. 医療イノベーションについてはオールジャパン体制での開発支援がうたわれていますが、AMDDはどう関与していくつもりですか。

A.大きな臨床的・経済的インパクトを持つ医療機器の開発が、単一国で完遂できるケースはますます稀になっていくと考えられます。他国の例を踏まえ、オールジャパンという言葉の定義を、日本の患者さん・医療現場に技術を提供する責任を持つ人的・組織的リソースとすべきであり、行政側もそのようにとらえていると認識しています。

Q. 日本医療研究開発機構(AMED)をAMDDとしてどう考えていますか。

A.これまで分散投資されていた研究開発予算を一元管理し・かつ重点分野に集中投資できることは、医療技術の研究開発に大きな影響を与えます。これらの予算が、人的資源の育成もしくは取得、医療提供安全環境の最適化などの研究にも、大きく配分されることを期待しています。AMDDは、医療研究開発機構と協働し、国際的な人的資源の提供、共同研究や開発、交流の機会など、日本の患者さんや医療現場に今後も貢献していく所存です。

Q. 日本のTPP参加に向けた動きについてどのように見ていますか。

A.AMDDではTPP参加が日本の不利益になるとは必ずしも考えていません。日本の患者さんに一日でも早く世界で標準的に使用されている先進医療技術をお届けするために、より良い規制の枠組みを成立させていくことがAMDDの使命と考えます。

Q. 医療機器産業の活性化のためには、何が必要ですか。

A.医療機器産業活性化のためには、イノベーションを正当に評価し、その価値を保険償還に反映させること及び国際整合に向かって、医療機器及びIVDの規制を進化させてゆくことが必要だと考えます。
医療機器産業を活性化するには、一層の規制緩和と経済的なインセンティブを付与することが必要であり、この問題意識は内資系企業、外資系企業の区別にかかわらず共有されています。
新製品の研究開発及び製造販売を進めるためには、投資金額に見合ったリターンが必要です。具体的には、余分なコストや時間のかからない臨床試験の環境整備、及び予測可能性が高い承認審査プロセスが不可欠である一方、日本の医療環境に見合った適切な水準の保険償還が行われることも重要です。
医療機器は医薬品と違い、使われることにより改善点が明らかになり、改良が進むことにより進歩するものです。審査を厳しくすること等によって市販前に時間をかけ、その時点でパーフェクトなものを作ったとしても、実際に使ってみると改良点が見えてくることもあります。こうした医療機器の特性から、安全性には十分配慮しながらも、承認審査期間を短くし、市場に速やかに製品を出すことが重要であり、そのためにも、市販後安全対策を強化して情報を収集していく必要があると考えます。

Q. 社会保障と税の一体改革に関する議論が進み、2014年4月より消費税が8%となりましたが、AMDDとしてはどのように見ていますか。

A.社会保障と税の一体改革関連法案は日本における医療や介護といった社会保障の充実と安定化を目指して2012年に国会にて成立しました。この法案に基づき2014年4月には8%まで消費税が引き上げられました。次いで2019年10月には10%への引き上げが予定されています。
医療における消費税の扱いは複雑であると言われています。そのため増税の際には混乱なく、正しい転嫁が医療界においても行われることが必要となります。また、消費税増税により、日本の医療制度自体もより充実と安定化が図られることが求められます。

Q. 2014年4月に発表された「医療機器審査迅速化のための共働計画」「体外診断用医薬品審査迅速化のための共働計画」について、AMDDとしてどう考えていますか。

A.平成20年に策定した「医療機器の審査迅速化アクションプログラム(平成21年度~25年度)」の取組みを踏まえ、更なる承認までの期間短縮と審査期間の標準化を図るための次期5ヵ年計画として医療器機器及びIVDの新計画が設定されたことは、行政と申請者の双方が課題を共有し、共通の目標に向かって継続的改善を行うことを宣言したようなものであり、非常に望ましいことと認識しています。
審査期間の目標値を、承認コホートから申請コホートに、また50%タイル値から80%タイル値評価に変更したことで、日本での承認審査期間の予測可能性が高まることが期待されます。また、審査期間は申請から承認までの総審査期間としていることから、行政・申請者共に「協働」することなくして、本目標は達成し得ません。各申請区分の目標審査期間は双方で合意したものであり、この5年における「実行」こそが、今、求められていると認識しています。

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その他AMDDの取り組む課題について

Q. 診断・治療機器では、どのような問題がありますか。
A.
  1. 診断・治療機器についての診療報酬の問題

    診断・治療機器には、生体検査、画像診断、処置、手術、麻酔、放射線治療など、技術料(特掲診療料)として評価されているものがあります。これら技術料として評価されている診断・治療機器において、先進技術への保険適用(C2)や診療報酬点数の透明性・予見性は十分とは言えない状況にあります。

  2. 診断・治療機器のイノベーションの評価

    診断・治療機器のイノベーションに対する評価は、CT/MRIの分野について一定の進展があったものの、透明性等については必ずしも十分とは言えません。技術料(特掲診療料)として評価されている診断・治療機器についても、日々、改良・改善を行っていることからその評価の仕組みが必要であり、特定保険医療材料における有用性加算や改良加算のような、より透明で明確な評価方法の導入を要望しています。

  3. 診断・治療機器の医療機器安全管理

    平成19年の改正医療法によって「医療機器安全管理責任者」の設置及び「保守点検計画の策定と適切な実施」が義務化されました。平成24年度診療報酬改定では保守点検計画の添付が施設基準になった等一部の機器では改善傾向が見られるものの、点検とメンテナンスの実施対応はまだ十分ではありません。医療機器の安全性を保証するため医療機器安全管理の推進が必要です。

Q. 包括的な感染予防:安全向上および感染予防・発見の推進について、AMDDはどのように考えていますか。

A.世界保健機関(WHO)は医療関連感染(HAI)を、予防可能な感染・死亡の主要原因として特定しています。予測可能な事故や損傷ならびに予防可能な感染リスクの低減を目指し、患者や医療従事者の安全強化のための包括的ガイドラインや法令を整備することは、①医療の質の向上、②回避可能な事故や損傷の軽減、③医療費の効率化という、3つの成果に繋がると考えます。回避可能な医療関連感染に対する医療費は膨大であり、安全・感染対策の強化により大幅な削減が見込まれます。
医療従事者の安全は、当事者のみならず、家族、職場、地域、業界、国家全体にとって重要な問題です。予測可能な事故を防ぐためには、政府・雇用者・被雇用者など関係者全員を包括した総合的かつ組織的な予防対策の実施が不可欠です。
AMDDは「治療」から「予防」へのパラダイムシフトや予防・早期発見・早期介入・健康を主眼とする包括的な政策およびプログラムを新たに施行することで、医療効果の充実、長期的な医療費の効率化、労働力の生産性向上を実現することを支援しています。

Q. 日本の医療費増大の要因は高額な医療機器など医療技術のイノベーションにあるという指摘もあるが、これについてどう思いますか。

A.人口の高齢化もさることながら、医療技術のイノベーションが医療費増大の一因になっている指摘がなされていることは認識しています。一方で、医薬品や医療機器等を含めた新しい医療技術が人命を守り、QOLの向上に役立ってきたという側面も当然あることから、より幅広い視点で議論がなされることを望んでいます。
医療機器の価格は前述した数多くの要因によって左右されるため、単品の価格に関して議論することは的を得ていないと考えます。イノベーションは現存するアンメットニーズに対応するものであり、この新技術をいかに効率よく利用するかが鍵となります。例えば、診断の際にIVD等を使用してその患者にあった治療法を決定し、必要最小限のリソースを投入して治療に当たることは医療の効率化に繋がります。現在、多種多様な医療技術が日本市場に導入されていますが、今後は、これらの技術をどのようにシステマティックに利用し、医療費の最適化を図るかに焦点を当てる時期に来ていると考えます。

Q. 日本の医療機器における輸入超過の問題についてどう思いますか。

A.輸出入というのは様々な事象によって起こった結果であり、それを一概に問題ととらえるのは性急です。むしろ現在の輸入超過現象は、医療機器の特性と国民性などに由来する国際分業の結果であると考えます。
現在の医療を維持するには、国内生産・海外生産のいかんにかかわらず、現在使用されている医療機器が継続して国内で入手できる環境が担保されることが、まずもって重要です。
一方、輸出入のバランスを問題視するのであれば、国内の企業が世界でも大きなシェアを占めている医用内視鏡歯科用金属においても、日本では輸入品が多く使用されている事実を認識する必要があります。これは国内企業であっても海外に生産拠点があるため、製品が輸入品という位置付けになるためです。この状況を解消するには、国内における新規の医療機器開発の促進とともに、製造拠点の誘致が必須と考えます。

Q. 医療機器の業界団体として、再生医療をどのようにみていますか?

A.再生医療については近年最も成長している分野であり、政府も力を入れているほか、日本のリーダーシップが発揮されている分野でもあります。
AMDDとしてもこの分野をサポートし、リーダーシップをとっていきたいと考え、2015年4月にAMDDの新組織として再生医療ワーキンググループを設置しました。本ワーキンググループでは、再生医療に関する理解をAMDD内部で深め、AMDDとしてどのような貢献ができるのか協議し、今後はポジションペーパーの作成なども視野に入れていきたいと考えています。

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