国際業界動向
「日米で病院数に大差―医療の集中化に期待」
掲載:2008年07月
日本の病院総数は民間・公立を合わせて8,943施設で、その9割近い7,870施設が一般病院です(厚生労働省「2006年医療施設調査」)。病院総数の年次推移をみると、1990年の1万余をピークに減り続けていますが、初めて9,000台を割り込みました。しかし一方、人口が日本の2.2倍、国土面積が25倍の米国の登録病院数は5,794で、このうち急性期病院は4,927施設しかありません(2002年、米国病院協会調べ)。調査年度は若干違いますが、人口で調整すると米国の病院数は日本の約3分の1になります。なぜ米国ではそういうことが可能なのでしょうか?
日本の場合、病院数が多いのには理由があります。たとえば地方でも政令指定都市における大きな病院では、公的な病院だけでも国立大学付属病院、県立病院、市立病院をはじめ、半公的な病院や民間の病院など、病院の数が多すぎ、症例が少数でバラつくことが指摘されています。
日本の病院での年間症例数は一施設100例を超えると多いといわれますが、海外ではセンター・オブ・エクセレンス(CoE)と呼ばれる集中化した専門病院では、年間1,000例を上回ることは珍しくありません。ドイツにおいて、心臓外科医として高名な日本大学医学部の南和友教授が副所長だったバード・ユーンハウゼン心臓センターは、1984年以降80,000例以上の手術を手がけています。
近年日本の医療機関の評判や格付けでは、一施設における心筋梗塞ならその病気の手術の年間の実施数で比較し、症例数が多いほどいい病院と言われるようになってきています。病院の数が多いことは、医師が多くの症例を手がけて治療技術を高めていく上での一つの障害となっているのではないでしょうか。
また、日本の病院数の多さと全国に分散している状態は、よく言われる医療機器の内外価格差の一つの理由でもあります。病院数が多いことは品揃えや在庫、さらには日本独特の営業コスト、流通上での代理店のコストなど、本来ならば不要なコストがかかってきます。さらには、米国などのように大量購買、他の病院との共同購買で価格を下げることもできない、ということにもなります。
医療の集中化は、日本の医療の質を高め、また内外価格差の解消にもつながると期待できるでしょう。


