国際業界動向
「病床数と病床利用率」
掲載:2008年04月
日本では病床数が海外に比べて多く医療費上昇の一因との見方がありますが、実態はどのようになっているでしょうか。まず総数の推移からみると、過去10年、行政サイドの方針もあって一貫して減少を続け、96年には191万2,000床だったのが05年には179万9,000床になっています(厚生労働省「医療施設調査」)。病床の種類別にみると一般病床の減少幅が大きく、96年の122万5,000床から05年は90万4,000床と実に25%以上も少なくなっ ています。
海外との比較では依然として高水準
日本で一般病床の減少が進んでいるのと同様、ほとんどの海外諸国でも減少となっています。人口1,000人当たりの一般病床に相当するAcute care hospital beds数をみると、05年で日本は8.2床と先進国中でトップにあり、OECD平均の3.9床をはるかに上回り、スウェーデンとの対比では3.5倍以上になっています(OECD HealthData 2007)。90年が日本12.3床、OECD平均5.1床ですから、日本はOECD平均よりは減少幅が大きいものの先進国中では突出している印象を受けます。しかし療養病床数からみると逆に日本は少ないのです。05年統計によって65歳以上の人口1,000人当たりでみると、スウェーデン72床といったトップ国は別としてもOECD平均41床であるのに対し、日本は27床にとどまっています(出典同)。これらから分析すると海外では療養病床を利用する患者さんが日本では一般病床に入っていることになります。単に数字だけを並べると日本では一般病床を減らして療養病床を増やせばいいことになりますが、これには問題もあります。
先進医療技術の積極導入が先決
例えば都道府県別にみた人口当たりの総病床数ではトップは高知県、2位は鹿児島県となり東京都、神奈川県など は最も下位のグループに位置しています。また利用率をみると05年は79%で、OECD平均の75%、米国の67%を上回っており実際に患者さんがいることがわかります。人口分布や構成、医療のあり方などが病床数に関わっていることは明らかで、ベッド数削減が直ちに医療の向上・効率化になるか疑問が残ります。しかし合理的なベッド数の削減手段もあります。先進医療技術の採用によって多くの治療分野で入院日数が大幅に削減されることが明らかになっています(表参照)。入院日数が大幅に短縮されることで、結果として病床数が減少することが望ましいといえるでしょう。残念ながら日本では欧米各国に比較して先進医療技術の認可が遅れています。政府は審査の迅速化に取り組む方針を明らかにしていますが、さらにこの動きを加速させ、患者さんの生活の質(QOL)の向上を図りつつ医療を効率化することが求められています。


