国際業界動向

「平均入院日数」

掲載:2007年02月

日本の医療費は1993年、GDPの6.5%でしたが、2003年には7.9%に増えました。現在は31.5兆円に膨らんでいますが、高齢化社会への移行が加速するなかで医療費はますます増加し、2025年には65兆円に昇ると見込まれます。そこで政府は医療費削減のため医療制度改革を講じており、厚生労働省は医療費適正化のための医療制度改革として、「病院の専門化と統合」、「入院日数の短縮」、「生活習慣病の予防法の促進」の3つを重点としています。医療費の60%以上を占めるのが病院医療費であることから、入院日数の短縮は全体の医療費削減に大きく寄与することになります。

増加してきた日本と海外先進国の入院日数差

日本の平均入院日数は1965年に28日で、米国の21日と比べてもあまり差はありませんでしたが、その後米国をはじめとする先進工業国では急激に短縮したにもかかわらず、日本は世界の趨勢に逆行し2002年には40.8日に達するまで延び続けます。1998年、米国では平均入院日数が6日となり、ほぼ極限に達し、現在に至っています。先進工業国では医療技術の進歩・発展が入院日数の短縮を可能にしましたが、一方、日本では出来高払いに則った診療報酬制度、医療から介護への移行の遅れなど制度面の矛盾や、患者側の「少しでも長めに置いてくれるのが良い病院、手厚い看護をしてくれる病院」との見方などが原因し、入院日数は減りませんでした。

1%の入院日数減少でも800億円の医療費削減

2005年の統計では日本はようやく36.3日となりますが、それでも先進7ヶ国(G7)の中では群を抜いています。都道府県で平均入院日数が最も短い長野県でさえ28.8日で、他のG7各国と比してはるかに多い状況です。厚生労働省の試算によると仮に全国で長野県に近い数値を達成すれば年間約2兆円の医療費が削減でき、また、この試算を基に推測すると、わずか1%でも日数が減ることで800億円が節約できます。

入院日数の短縮に効果的な先進医療技術の導入

G7各国平均入院日数比較(2005)

先進工業国の例に見られるように入院日数の短縮は先進医療技術の進歩と大いに関わっています。効率・効果向上に寄与する先進医療機器や早期発見・早期治療を促進する画像診断機器やIVD診断により、治療に必要な時間や快復までの時間は短縮されます。PTCA(経皮的冠動脈形成術)を例にとると、従来のバイパス手術では30日だった入院期間が5日に短縮され、また、医療費も患者一人当たり226万円が削減されます(削減率70%)。手術を必要とする心臓疾患の患者は年間約86,000人いますが、全員がPTCAにより治療されるとすると1,948億円もの医療費削減効果があることになります。(Source : BAIN &COMPANY/ACCJ「転換期を迎えた日本の医療システム」より)

入院日数の短縮は国の医療財政の健全化に寄与するばかりでなく、早期退院により日常生活、社会生活への復帰が早まり、何よりも患者自身によりよい生活の質=QOLの向上をもたらす大きな価値を生み出します。その意味でも最新医療技術の導入は日本の医療制度にますます大きく貢献していくでしょう。