先進医療技術について

女性の病気

乳がんの早期発見と先進医療技術

乳がんの早期発見と先進医療技術日本の女性が最もかかりやすいがんが、乳がんです。患者数は年々増加し、年間約3万5,000人が乳がんと診断されるに至っています。日本では発生率、死亡率共に上昇カーブを描きつづけています。(日本における乳がん死亡数は、1970年度:2,486人、1980年度:4,141人、1990年度:5,847人、2000年度:9,248人)乳がんは早期に発見し、治療すれば死に至る病ではありません。

画像診断機器や、生検システムは乳がんの早期発見への最初の鍵となるものです。マンモグラフィー(乳房専用のレントゲン画像診断)、エコー(超音波を使って乳房の断面を写し出す検査)、針生検システム(組織標本を採取する吸引式針生検システム)など、がんの兆候をいち早くみつける上で必要な先進医療技術です。画像診断は視触診より3倍の発見率といわれています。また、体外診断用医薬品(IVD)である腫瘍マーカーは、乳がんの経過観察に用いられています。

子宮頸がんの原因と先進医療技術

子宮頸がんの原因と先進医療技術子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。特に子宮頸がんは、女性のがんの中では乳がんについで多く、日本では毎年約8,000人の女性が新たに罹患し、約2,500人が死亡しているといわれています。そして子宮頸がんは20~30代の若い女性に急増していることが問題になっています。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の中でも「高リスク型」と呼ばれる、ごく一部のグループのHPVの感染が原因とされています。HPV自体はごく一般的なウイルスで、性交渉によって感染します。また、高リスク型HPVに感染したすべての人が子宮頸がんになるわけではなく、その多くは自然に消失します。まれに高リスク型HPVが持続的に感染した場合に子宮の細胞の変化が起こり、がんになる前の状態の「前がん病変」となります。つまり子宮頸がんは発生原因が解明されており検診を定期的に受診すれば予防できるがんといわれています。

子宮頸がんの検査技術

子宮頸がん検診の検査方法には、子宮頸部の細胞を採取し「前がん病変」である異形成やがん細胞がないか顕微鏡で調べる「細胞診検査」と、高リスク型HPVが感染しているかどうかを調べる「HPV-DNA検査」があります。現在日本では国の事業として20歳以上を対象とした細胞診検査ががん検診として行われています。

一般的な細胞診検査は、検体をスライドに直接塗抹し観察する「直接塗抹法」ですが、最近直接塗抹法の問題を解決するため「液状処理細胞診法(LBC法)」が一部取り入れられるようになりました。アメリカでは細胞診検査の約9割がLBC法で行われています。LBC法は細胞を採取した器具を専用の液体容器に入れた後、診断に重要な細胞を収集し、均一な標本を作製します。さらに、先端技術を用いた子宮頸がんスクリーニング支援システムでは、標本上の細胞を自動で読み取り、疑わしい細胞を短時間に解析することが可能です。人の目によるスクリーニングと機械によるスクリーニングの併用で検査精度の向上が可能となります。

一方、HPV-DNA検査は、子宮頸がんの原因である13種類の高リスク型HPVの遺伝子を検出します。検査法には遺伝子を増幅して検出する「PCR法」と、遺伝子を増幅しない「ハイブリッドキャプチャー法」があります。

細胞診とHPV-DNA検査を併用することにより前がん病変の検出率が著しく向上することが報告されておリ、アメリカの産婦人科学会(ACOG)のガイドラインには細胞診とHPVの組み合わせが30歳以上で選択肢の一つとして推奨されており、既に検診に取り入れられています。このように子宮頸がんは早い段階からの定期的な検診によってほぼ確実に予防することが可能となります。

また、これらの検査方法以外に血液による検査方法として、SCC抗原(squamous cell carcinoma antigen)の検査があります。SCC抗原の検査は、がん細胞が作り出す物質をはかる血液検査で、子宮頸部、肺、食道、頭頚部、尿路・性器などの各扁平上皮がんの患者の血中から高頻度に検出されるマーカーです。