先進医療をめぐる声

平成20年度保険医療材料制度改革について

田村 誠 氏 ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社 バイスプレジデント

掲載:2008年4月

田村 誠 氏

今年4月の診療報酬改定によって保険医療材料制度もルールが見直され、さらに市場実勢価や外国平均価格に基づき、それぞれの機能区分の償還価格が改定されることになりました。本稿では医療機器業界が、どのような要望を厚生労働省・中医協に行い、どのように受け入れられてきたかなどについて報告します。

1. 医療機器業界の要望

平成20年度改定に向けて、医療機器業界が要望してきたことは大きく3つあります。※1

まず新規製品の評価です。具体的には新規機能区分(C1/C2)の補正加算に医療経済加算や改良加算など医療機器の特性にマッチしたものを加えること、および新規機能区分の保険適応審査期間短縮等について提案しました。

次は、既存製品の評価に関することです。機能区分によっては製品機能が大きく異なる製品群が1つの区分にまとめられているため、そうした区分の見直しです。さらに償還価格の下落が厳しく、継続的な製品供給が困難になっている製品(区分)について、価格を引き上げることを要望できるよう提案しました。

最後は、再算定制度(外国平均価格)です。私たちは、同制度が導入された2002年から市場環境の異なる外国との価格の比較は適当でないとして、再算定制度には一貫して反対しています。同制度が本年もやむを得ず適用されるのであれば、予測可能性の観点から、これまでと同様な制度の運用を要望しました。

2. 決定された保険医療材料制度見直しの概略

これらの業界要望等も踏まえ、中医協で決定された保険医療材料制度見直しの概略は以下のようになりました。※2

まず新規の製品(機能区分)に関しては、保険適応の審査プロセスを一部短縮化すること、および、これまでの有用性加算(Ⅱ)に代えて、改良加算が設けられるようになりました。一方で、これまで外国平均価格では所定の条件下※3では2倍が上限であったのが、1.7倍に引き下げられました。

次に、既存の製品(機能区分)に関しては、10区分について見直しが、また供給が著しく困難な機能区分については、償還価格を引き上げることも可能であるようにルールが見直されました。

3. 次回決定に向けての課題

今回の改定結果を踏まえて、次回改定に向けての課題を考察してみます。

まず、医療機器の特性にマッチした「改良加算」が創設されたこと、およびこれまで日本の価格が外国に比べて高いとばかり言われてきた医療材料にも、供給が困難になるほど低価格のものが存在することが中医協でも議論されルール変更が認められたことの2点は大きな前進であったと考えます。ただ、これらの新ルールが実際にどのように運用されるかは慎重に見極める必要があるでしょう。一層のデータの提供等、業界側にも検討する課題があるかもしれません。

新規の機能区分(C1/C2)の審査プロセスの一部短縮化も、イノベーションの早期導入には望ましいものの、まだいくつかルール変更の余地があり、今後も引き続き要望すべき事項と考えています。

今回、新製品に関しても既存製品に関しても、外国平均価格との比較で上限が2.0倍であったものが1.7倍に引き下げられ、さらに2010年改定では1.5倍に引き下げられる可能性のあることが、中医協保険医療材料部会で論じられました。

業界では、これまでも日本の市場の特殊性をさまざまなデータ/エビデンスで示し、一定程度の内外価格差は日本への安定的な製品供給には不可欠であると主張してきましたが、次回改定に向けて、皆がさらに納得できるような説明を行っていくべきと考えています。

※1.2007年10月24日 中医協材料専門部会における業界ヒアリング
※2.2008年1月30日 中医協総会
※3.直近2回の材料価格改定による償還価格の下落率が15%以内である場合。
これが15%を超える場合は、1.5倍が上限